この間ある奈良の地酒を頂きました。
そのある地酒は、以前からある特徴を感じていました。
その蔵元が作った何種類かもやはり同じような特徴を
感じます。
当然同じ杜氏の方が仕込んでいるのでしょうから同じ
特徴になりますよね。
その特徴とは、「中抜け」。
味わい曲線で言うと「腰」の部分でややネバリなく、
香りも抜ける。
商品によっては口当たりの香りはそこそこあっても
味わいが薄く、更に「腰」が弱く味が「中抜け」する
印象で、正直商品全般にあまり好みではありませんで
した。
しかし、その時頂いた「純米吟醸」である発見が出来
ました。
「冷」で頂き、やはり今までと同じように「中抜け」感
は健在で、「あ〜、こうなるよね」。
でも、このお酒は口当たりの香りも程よい果実感で、コク
もあり、「頭」と「肩」にはしっかりとした広がりを感
じ、華やかでとても良い印象を受けました。
その後の「中抜け感」なのでやや「残念」でもありまし
た。
そんな印象を感じながら用意して頂いたお寿司を1つ。
そして、この後お酒を一口頂くのです。
「あ〜〜〜〜〜っ!!」
これは、杜氏の絶妙な技なのか?それとも偶然なのか?
頭をよぎる「疑い」と「驚き」が思わず声に出てしまい
ました。
「中抜けが埋まっている!!」
口に残ったお寿司の「糖」と「脂」そして適度な塩気が
口当たりの存在感と「腰」の厚みとしてプラスされ、
絶妙なバランスのお酒に変化していました。
驚きました。
いつも、コーヒーでも食べ合わせに注目して飲んでいるの
ですが、これほどまで、まるでパズルのピースのように
「ピタッ!」とはっまたのは、「カツサンド」とコーヒー
の食べ合わせ以来の衝撃でした。
今回のこの一件で、「味わい曲線」の考え方にも少し変化
が出来ました。
コーヒー単体での完成度にこだわらず、もっと副材料や
食事の内容をプラスした全体像から味わいを作る考え方も
必要なのかもしれません。